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インドの国名変更問題を歴史と現在から紐解く




2023年のG20はインドを議長国として開催された。そのタイミングでインドのモディ首相が国名をバーラトとして表記したことが議論を呼んでおり、様々なメディアが報じている。イギリスによる植民地支配を受けた歴史的背景や選挙が迫る中で国内政治をモディ首相が意識しているとの見方も出たが、インド国内の言語状況を踏まえた考察はない。インドの国名変更問題は日本を英語でジャパンと呼ぶのとは本質的に異なることを明らかにする。


まず、インドという呼称はどのようにして使用されるようになったのだろうか。インドという語の起源は古代文明が栄えたことで有名なインダス川であり、もともとはヨーロッパから見てインダス川以東の地域を全て指していた。1857年にヴィクトリア女王を元首とする英領インド帝国が成立したことにより、「インド」という呼び名は正式に国名としての地位を得た。このようにイギリスによって植民地支配を受けた歴史があるため、国名の英語表記に敏感になっていると言えるだろう。


では、私たちが住む日本の状況はどうだろうか。多くの日本国民は海外ではジャパンと呼ばれていることに何の抵抗感も持ち合わせていないと言えるだろう。ジャパンという呼び名はもともとは中国語で倭国を指していたと言われており、それが英語に取り入れられたと考えられている。日本には一つの漢字にも音読みと訓読みがあるなど、もともと文字に対する発音には寛容なところがあるので、国名が国内と海外のダブルスタンダードなことについて異を唱える人に筆者は会ったことはない。


一方、インドの諸言語の起源であるサンスクリットはラテン語やギリシャ語と同じインド・ヨーロッパ語族に属しており、漢字のような表意文字ではなく表音文字を採用している。したがって、言語の表記よりも発音が重要視されており、そこが日本=ジャパンとは違うのである。また、インドは多くの州で成り立っており、それぞれの州では独自の言語が公用語となっている。国が言語州で成り立っていることも、インド人が国名に対して特別な関心を持っているもう一つの理由である。


インドの国名変更問題は植民地支配の歴史と国内の言語状況の産物であり、日本人には理解しがたい部分もある。この問題は英語名と現地語名が異なり、表音文字であるハングルを採用する韓国などの国々にも波及する可能性があり、今後の動向が注目されるであろう。

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